簿記

ゼロから始める簿記勉強:商品取引の基礎

簿記3級の学習範囲は商品の仕入、販売をおこない利益を得る『商業簿記』が舞台です。

ここで肝となる商品売買の仕訳についてみていきたいと思います。

分記法と三分法

商品の仕訳には分記法と三分法という2種類の仕訳方法が存在しています。

その違いと特徴をみていきましょう。

分記法

分記法は商品売買の取引を勘定科目の『商品(資産)』と『商品売却益(収益)』で仕訳する方法です。

早速みていきましょう。

  1. 4月1日商品500円を現金で購入した。
  2. その商品を4月5日に800円で販売し、現金を受け取った。
①の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1商品500現金500
仕訳は分記法を用いる

この様に借方に商品が資産として記録されます。貸方は現金の減少ですね。

では4月5日に商品を販売した時はどんな仕訳になるでしょうか?

②の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/5現金800
仕訳は分記法を用いる

まずは商品を売却して現金を受け取っているので現金が増えますね!

では相手勘定はいったいどの様に仕訳されるのでしょう?

②の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/5現金800商品500
商品売却益300
仕訳は分記法を用いる

こうなります!

『販売した金額800円』=『500円で仕入れた商品』+『商品を販売して得た利益』

この様に商品を売って得た利益を一目瞭然に把握できるのがこの分記法です。

それではもう一つ見てみましょう。

  1. 4月1日に商品Aを500円、商品Bを400円、商品Cを300円を購入し、普通預金から支払った。
  2. 4月5日に商品Aを800円、商品Bを900円、商品Cを600円で販売し、代金は現金で受け取った。
①の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1商品A500普通預金1,200
商品B400
商品C300
仕訳は分記法を用いる

まず①の仕訳はこうなりますね。

それでは②の仕訳をみていきましょう。

②の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/5現金2,300商品A500
商品B400
商品C300
商品売却益1,100
仕訳は分記法を用いる

もしくは

②の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/5現金2,300商品1,200
商品売却益1,100
仕訳は分記法を用いる

うん、商品売買の利益が非常に分かりやすいですね!

……..

ちょっと待った!

これってどちらにせよ商品仕入値を全て計算していかないと記録できないですよね?

これくらの取引ならなんの苦もありませんが、毎日何百、何千という取引をおこなっているのに、商品ごとに毎回毎回こんな仕訳をおこなっていたのではとてもじゃなけど追いついていかなですよね…

経理担当の悲鳴が夜な夜な聞こえてきそうです…笑

確かにリアルタイムで利益がわかるというメリットはあるのですが、それにしてもめんどくさい!

そこで登場するのが次に説明する『三分法』です。

三分法

三分法は商品売買の取引を『仕入(費用)』『売上(利益)』『繰越商品(資産)』の3つの勘定科目で仕訳していく方法のことを言います。

先程の分記法と同じ取引を仕訳してみましょう。

  1. 4月1日商品500円を現金で購入した。
  2. その商品を4月5日に800円で販売し、現金を受け取った。
①の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1仕入500現金500
仕訳は三分法を用いる

分記法では『商品』という資産が増えたと記録していたのに対して、三分法では『仕入』という費用の科目に変わりました。

なるほどぉ、では②の仕訳はどうなるかというと

②の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/5現金800売上800
仕訳は三分法を用いる

今度は商品という資産の減少ではなく、売上という収益の発生として記録されます。

それではもう一つ先ほどと同じように見てみましょう。

  1. 4月1日に商品Aを500円、商品Bを400円、商品Cを300円を購入し、普通預金から支払った。
  2. 4月5日に商品Aを800円、商品Bを900円、商品Cを600円で販売し、代金は現金で受け取った。

商品の仕入れを『仕入』という費用の発生、商品も売り上げを『売上』という収益の発生と仕訳するんでしたね。

ということは

①の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1仕入1,200普通預金1,200
仕訳は三分法を用いる

以上です!

一つ一つの商品の増加ではなく、仕入れた費用の発生として仕訳しているという事ですね。

それではこのまま②の仕訳を考えてみましょう。

②の仕訳
日付借方科目金額貸方科目金額
4/5現金2,300売上2,300
仕訳は三分法を用いる

これで終わりです!

仕入(費用)と売上(収益)にするだけでこんなに簡単になりました。

…….

あれ?

簡単になったのは良いけど結局利益はいくらなの?

三分法を使った場合はその場ですぐ収益がだされるわけではないので、この利益を出す作業を決算にまとめておこなってしまいます!

常に発生している期中の仕訳を楽にして、最後の決算でどれくらい収益が出たのか、期中に売り上げた商品の仕入れ高(売上原価)を計算しましょう!というのが三分法の考え方ですね。

売上原価の求め方については決算の仕訳で改めて説明していきたいと思います。

売掛金(うりかけきん)と買掛金(かいかけきん)

商品の売買は必ずしも現金でおこなわれるとは限りません。

最も重要なポイントは売掛金、買掛金は『商品』の取引でしか使われないということです!

今後の考え方でも重要になるので必ず『商品』の取引でしか使われないと覚えてください!

売掛金や買掛金は必ず簿記に出てくるので、ここでおさえておきましょう。

きっちりとおさえるためにも、まずは賭け取引というものが何なのかということを見ていきましょう。

賭取引とは?

掛取引とは商品取引の支払い方法の1つで、簡単に言うと『後払い』のことですね。

信用取引とも呼ばれていて、私たちも何気なくこの掛取引をおこなっていることがあります!

それはクレジットカード払いですね。

商品を購入した時にクレジットカードを使い支払いをする。これも立派な掛取引です!

もちろん自分にとってはただ必要なもの、好きなものを買っただけかもしれませんが、売っている企業からすれば立派な掛け販売なのです!

売掛金

商品売買の取引において掛けで商品を売った場合は『売掛金』という勘定科目を使用して仕分けをしていきます。

けでったお

だから売掛金ですね。

かなり覚えやすいのではないでしょうか?

4月5日、商品800円を掛けで販売した。

この場合はどういった仕訳になるか、もう分かりますね!

日付借方科目金額貸方科目金額
4/5売掛金800売上800
仕訳は三分法を用いる

これで完了です。

売掛金は、掛けで売ったお金を回収(払ってもらう)権利です。つまり要素は『資産』です。

買掛金

次は買掛金をみていきましょう。

といってもここまで来ればもう分かりますね。

けでったお

だから買掛金です。

早速みていきましょう。

4月1日、商品500円を掛けで購入した。

日付借方科目金額貸方科目金額
4/1仕入500買掛金500
仕訳は三分法を用いる

これで完了です!

買掛金は、掛けで買ったお金を支払う義務です。つまり要素は『負債』の項目です。

まとめ

ここで今回の内容をまとめてみます。

こんな感じです!

これからも簿記について頑張って覚えていきましょう。

応用編もぜひ読んでみてください!