簿記

ゼロから始める簿記勉強:『現金』『預金』

簿記の勉強を始めて、最初に仕訳の学習をするのが現金や預金、小口現金です。

これらは『資産』に属する科目です。

普段から慣れ親しんでいる現金や預金などから勉強していくと非常にわかりやすいです。

現金や預金などは企業の運営にも大きく関わってくるので、まずはここから覚えていきましょう。

現金

簿記において紙幣や硬貨に加えて他人振出の小切手や通貨代用証券といった銀行や郵便局へ行けばすぐに現金化できる物も現金として考え仕訳をしていきます。

  • 現金の属する要素は『資産』
  • 現金の増加は『借方』へ、減少は『貸方』へ記録する。

現金として仕訳されるものを見ていきましょう。

現金

現金は紙幣や硬貨、現金そのもの。

例:4/1、商品を500円で売り、代金は現金で受け取った。
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1現金500売上500
仕訳は三分法を用いる

現金が増えた(資産の増加)なのでこのような仕訳になります。

それではこれはどうでしょう?

例:4/2、電話代3,000円を現金で支払った。
日付借方科目金額貸方科目金額
4/2通信費3,000現金3,000

仕訳はこうなります。

現金が減った(資産の減少)なので現金という勘定科目は貸方へ記録され、通信費(費用)が借方へ記録されます。

通貨代用証券

通貨代用証券は金融機関で即時現金化できるもののことをいいいます。

いくつか種類がありますがここでは『他人振出の小切手』と『郵便為替証書』について見ていきます。

小切手(他人振出)

「この小切手に好きな金額を書け‼︎」みたいなシチュエーションをドラマや映画などでたまに見かけることのあるあいつです!
基本的にはあんな使い方はしないみたいですが、企業の支払などでよく使われるものです。

小切手とは記入された金額を銀行の窓口で現金に交換してもらえる物です。この時、振り出した側は銀行の当座預金口座から残高が差し引かれます。そのため受け取った側は現金の増加として仕訳していきます。

要するに相手の当座預金口座から小切手を使って記載された金額を引き出せるということです。

例:4/1、商品を500円で売り、代金は小切手で受け取った。
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1現金500売上500
仕訳は三分法を用いる

仕訳はこうなりますね。

  • 他人振出の小切手は『現金の増加』として仕訳
  • 自分の振り出した小切手は『当座預金』の減少として仕訳

郵便為替証書

郵便為替証書は小切手の郵便局バージョンです。

発行する側が郵便局で郵便為替という証書を購入し、受け取る側へ送ります。受け取った側はその証書を郵便局へ持ち込み換金するといった仕組みです。現金書留の証書版ですね。

受け取った側からすると即換金ができるので現金として仕訳します。

例:4/1、商品を500円で売り、
     代金は郵便為替証書で受け取った。

日付借方科目金額貸方科目金額
4/1現金500売上500
仕訳は三分法を用いる

これも現金として仕訳するのでこのようになります。

預金

私たちにとって馴染み深い預金といえば、『普通預金』『定期預金』の2種類があると思いますが、事業で使う口座にはもう1つ『当座預金』という口座があります。

この3つの預金について見ていきましょう。

  • 預金の属する要素は『資産』
  • 預金の増加は『借方』へ、減少は『貸方』へ記録する。

普通預金

普通預金は現金の預入、引出しを自由に行える銀行預金です。一定期間現金の預け入れをおこなっていれば元本に利息がきます。

私たちがいつも使っている銀行預金も普通口座預金が多いです。

例:4/1、商品を500円で売り、代金は普通預金に入金された。
日付借方科目金額貸方科目金額
4/1普通預金500売上500
仕訳は三分法を用いる

預金も現金同様に資産の要素に属するので増加は借方へ記録していきます。

それでは次は?

例:4/2、電話代3,000円を
         普通預金からの引き落としで支払った。

日付借方科目金額貸方科目金額
4/1通信費3,000普通預金3,000

普通預金も減少は貸方への記録です。

定期預金

定期預金は一定期間現金の引出しを出来ない期限付きの銀行預金。普通預金よりも利息の条件が良い。

つまり、資金拘束はされるもののその分利息が普通預金よりも良い銀行預金です。

それでは仕訳を見てみましょう。

例:4/3に現金10,000円を定期預金に預け入れた。
日付借方科目金額貸方科目金額
4/3定期預金10,000現金10,000

定期預金の増加(資産の増加)が起きたので借方へ記録。同時に現金が減少しているので(資産の減少)貸方へ記録していきます。

何が増えて何が減ったのか?を見極め、増えたもの、減ったもの勘定科目(要素)は何なのか?を導き出します。

当座預金

銀行との預金契約の一つで手形や小切手を発行するための銀行預金。利息はつかない。
あくまでも銀行との契約の一つの名称であり当座預金に預金通帳が存在しません。

銀行と『当座借越契約』を結んでいれば、当座預金の残高を超えても契約の限度額までは支払が可能になります。

また、自身の当座預金から振り出した小切手で代金等を受け取った場合は当座預金への充当と考え当座預金を増加させます。

  • 当座借越契約を結んでいれば残高を超えての支払が可能。
  • 自身で小切手を振り出した場合は当座預金の減少として処理する。
  • 自身の振り出した小切手が戻ってきた場合は当座預金の増加として処理する。
例:4/1、現金10,000円を当座預金に預け入れた。
日付借方科目金額貸方科目金額
4/3当座預金10,000現金10,000

当座預金(資産)が増加して、現金(資産)が減少した。

例:4/5、商品5,000円を小切手を振り出して支払った。
日付借方科目金額貸方科目金額
4/5仕入5,000当座預金5,000
仕訳は三分法を用いる。

自身が小切手を振り出した場合は当座預金の減少として処理する。

例:4/15、商品を5,000円で売り、代金2,000円は現金、                     残額は以前、当社が振り出した小切手で受け取った。

日付借方科目金額貸方科目金額
4/15現金2,000売上5,000
当座預金3,000
仕訳は三分法を用いる。

自身の振り出した小切手が戻ってきた場合には当座預金の増加として仕訳する。

小切手について

現金、預金について見てきましたがこの中で特に注意が必要なのは当座預金(小切手)に関する仕訳の考え方ではないでしょうか?

もう一度小切手、当座預金についてまとめてみます。

小切手の仕組み

小切手については仕組みを知ることで勘定科目のイメージをしやすくなります。

①支払いなどの為に小切手を発行⇨この時にはまだ当座預金口座からの引き落としはされていません。

②取引相手が銀行に持ち込み現金化⇨この時初めて当座預金口座より引き落としが発生します。

③銀行に持ち込み現金化する前に他の支払で使用された場合、自身で振り出した小切手が戻ってくる場合があります。⇨小切手の振り出し時に当座預金の減少として処理をしているので当座預金が増加した(戻ってきた)として当座預金勘定で処理をします。

当座借越契約を結んでいれば残高を超えても支払可能。※当座預金勘定

小切手の振り出しは当座預金口座からおこなう。※当座預金の減少

他人振り出しの小切手を受けた時は現金で処理(即時換金ができるため)。※現金勘定

自身の振り出した小切手を回収した時は当座預金の増加として処理(当座預金から引き落とされるはずのものが帰ってきたため)※当座預金の増加

まとめ

現金、預金と見てきましたがやはりわかりにくいのは小切手による取引ではないでしょうか?

まずは最初の関門としてこの小切手の取引を確実に覚えていきたいところです。

期中の仕訳を確実に覚えることが簿記をマスターしていくうえでは必須条件ですので、まずは現金や預金をしっかりと仕訳できるようになりましょう。